ima+design所属(カリフォルニア州立工芸大学卒
松崎竜王さんの留学レポート

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私が通った母校は、この海外ランドスケープレポートでもお馴染みの後藤さんや大西さんと同じく、南カリフォルニア、ロサンゼルス郊外に位置するCalifornia State Polytechnic University, Pomona(通称カルポリポモナ)です。
私の場合は、コミュニティーカレッジ(2年制短期大学)からのトランスファー(編入入学)でした。この時点でアメリカにはトータルで6年程住んでいた訳ですが、北カリフォルニア、サンフランシスコベイエリアの生活にすっかり落ち着いてしまっていた私には、新天地の南カリフォルニアに移ると言う事は大きな決断でした。

カリフォルニア州には現在、4つのLandscape Architectureを習得できるASLA(American Society of Landscape Architecture)公認の主な4年制公立大学が存在しています。(下記参照)

◇大学名と取得できる学位◇
 ○University of California, Davis BSLA(4年制)
 ○University of California, Berkeley BA(2年制), MLA
 ○California Polytechnic State University, San Luis Obispo BLA(5年制)
 ○California State Polytechnic University, Pomona BSLA(4年制), MLA

私はバークレーの街に長年住んで居たので、最初はバークレー大学を目指して頑張っていました。しかしコミュニティーカレッジに通っていて、建築を専攻していた頃の私は、ランドスケープアーキテクチャーの存在などは全く知らなく、ランドスケープ専攻で4年制大学編入は全く考えていませんでした。

転機が訪れたのは、アメリカ在住5年目の頃でしょうか。バークレー大学にランドスケープアーキテクチャーの研究員として来て居られた、東京農業大学の鈴木誠教授にお会いした事です。鈴木教授からランドスケープのすばらしさを教えて頂き、私もいろいろと調べて行くうちにその魅力にはまって行きました。そして、これこそ私が求めていた物だと確信しました。

1995年に阪神大震災を体験した私は、どうにかして人々に安ぎを与えられる空間造りができる様な事がないだろうかと常日頃考えていました。社会福祉学科専攻にしようと思った事もありましたし、建築学科を実際に専攻していたのも、そう言った理由によるものです。ですが、ランドスケープなら更にもっと大きな事が出来そうだと言う想いに駆られ、それ以来はランドスケープでやって行くと心に決めました。

ちょっと話がそれてしまいましたが、鈴木教授からカルポリポモナに上杉武夫というとても良い日本人教授が居るので、彼の元で勉強してみてはどうかと提案をして頂きました。もちろん私自身も4つの大学を良く調べてみましたが、自分に一番合ってると思った大学がやはりカルポリポモナでした。住み慣れた場所を離れるのには少し抵抗がありましたが、本当に自分に合った大学で学んで行く事がいろいろな意味での学業の成功に繋がったと思います。またその事は、就職レポートにでも書きたいと思います。

カルポリポモナまでの編入の道ですが、コミュニティーカレッジでは一般教養をとにかく勉強します。あと、カリフォルニア大学(University of  California系列)、カリフォルニア州立大学(California State University系列)に編入の際には必須科目があり、行く大学によってもかなり違ってきます。

私は、建築やランドスケープはアートの部類なのでてっきり文系だと思ってましたが、実はかなりの理系的要素の高い学科だったんですよね。コミュニティーカレッジでは実に多くの理系科目を取る事になりました。

参考までに言っておきますと、数学、生物、化学、地質学、環境学などを取りました。そして、アート学科を取ると言う事も必要で、カリフォルニア州のほとんどのコミュニティーカレッジでは、ランドスケープを習得できる学科がないので、その代わりに普通は建築やアートのクラスを取る事になります。そして、編入に必要な全ての科目を終了していると、4年制大学では、2年生に編入する事ができます。終了できてない場合でも編入可能な場合もありますが、そのケースでは1年生から始めなくてはいけません。あと、やはり4年制大学の方がコミューニティーカレッジよりも、同じ一般教養のクラスを取るにしても勉強のレベルが高いので、コミュニティーカレッジで終わらせられる教科は終わらせておく事が一番良い編入方法だと思います。

さて、カルポリポモナのランドスケープアーキテクチャー学科http://www.csupomona.edu/~la/)に編入してからですが、大西さんが2年生、3年生の勉強の内容を彼女のレポート内で書いてくれていますので、私は学年別の簡単なカリキュラムと、4年生の勉強内容について書きたいと思います。
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◇一年生◇ freshman
 ○べーシックデザイン
  - デザインのバックグラウンドのない人が、デザインワークについて学びます。
 ○ランドスケープデザイン入門
  - ランドスケープデザインに必要な知識や、手法などを学びます。
 ○ランドスケープアーキテクチャーの歴史。
  - ランドスケープデザインについての基本的な歴史、スタイルなどを学びます。

◇ニ年生◇ sophomore
 ○べーシックランドスケープデザイン。
  - ランドスケープについての更なる知識や、手法などを学びます。
 ○ランドスケープグラフィック
  - ドローイング全般、キャドなどを学びます。
 ○プランティングアイデンティフィケーション
  - カリフォルニアに生息している植物について学ぶと同時に名前を覚えます。

◇三年生◇ junior
 ○インターミディエイトランドスケープデザイン。
  - Power of Tenが、カルポリでは恒例のカリキュラムです。
 ○プランティングデザイン。
  - 植物配置のデザインを学びます。
 ○ランドスケープコンストラクション。
  - コンストラクションドキュメントを製作するにあたっての基礎知識を学びます。

◇四年生◇ senior
 ○アドバンスランドスケープデザイン
  - 実際の仕事に近い形式でデザインを仕上げていきます。
 ○プロフェッショナルプラクティス
  - 就職準備と言う事で、仕事に対しての道徳観などを学びます。
 ○シニアセミナー
  - ランドスケープデザインに対するディスカッションの場です。
 ○選択科目
  - 4つあるランドスケープ関連の科目から2つを選んで取ります。
 ○シニアプロジェクト
  - 卒業課題みたいなものです。
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 ○イタリア研修。(オプションで、大体クラスの3分の1位が参加します。)
  - 一学期間イタリアに行き、イタリアでのランドスケープを学びます。
*最終学年の四年生の授業は、今まで勉強してきた集大成と言って良い内容になっています。

アドバンスランドスケープデザインでは、一年間(秋、冬、春学期)を通して、プロジェクトをコンセプトの段階から立ち上げ、実際にクライアントも作り上げて、プロジェクトに必要なデザイナーとクライアントとのコミュニケーションの場を設けます。そしてクライアントの意向に沿う様なデザイン、設計を行っていきます。各学期末のクラス内でのプレゼンテーションでは、クライアントの方達も一緒に参加してもらって、いろいろな意見交換なども行ったりします。

このアドバンスランドスケープデザインでは、グループワーク、個人ワーク、どちらでも構わないのですが、私はこの頃にはインターンを始めていたので、他の人との時間が合わない事もあり、個人で一つのプロジェクトに取り組む事にしました。

まず最初に始めるのがリサーチです。どんなプロジェクトを作り上げる事ができるか、どんなプロジェクトが自分達の周りで現存しているか、どんなプロジェクトが必要か、面白いか、などなど。あと、個人でやるからには規模もちゃんと決めておかなければなりません。あまり大きすぎるプロジェクトは、負担がかかり過ぎる上に、内容の薄い物になりかねないからです。実際、数名のクラスメイトは、最初の学期に何回か取り組むプロジェクトを変えていました。

次に、取り組むプロジェクトが決まった所で、そのプロジェクトに対してコンタクト出来る人を探します。そしてそのコンタクトパーソンがクライアントとしての役割を請け負ってくれる事になります。もちろん交渉次第ですけど・・・たいがいは、快く引き受けてくれます。

私の場合は、オレンジ郡の路面電車、センターラインプロジェクト(http://www.octa.net/center/intro/10int.asp)に決めたので、コンタクトをする人、クライアントは、そのプロジェクトマネージャーの方でした。具体的に私の意向も伝えた後に、私が協力できる事、クライアント側からの意向、提案などについて話し合いました。取りあえず、クライアントとのコンタクトは一週間ベースで行っていくと言うのが基本ルールです。そして、クラスの教授とも一週間に一回会い、進行状況を説明します。
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秋学期がConcept Designとすると、冬学期がSchematic Designで、春学期はDesign Developmentです。本当に実際のプロジェクトを行っていく様な過程で課題をこなしていきます。締め切りなども、クライアントと話合った上で決めていき、提出できる物は提出します。この様な授業内容が、実際に就職して仕事をする上で、とても役に立つんですよね。

次にプロフェッショナルプラクティスですが、これはオフィス見学も含め、実際の仕事の内容や、仕事をするにあったっての道徳観を学びます。私はインターンをしていましたので、学生の時から実際の仕事に触れる機会が多くあり、仕事から多くの事を学ぶ事ができました。しかしながら、違ったタイプのオフィス見学をするのはとても楽しかったです。

シニアセミナーですが、これは早く言えばディスカッションの場を持つと言うものです。いろいろなランドスケープのプロジェクトに対して、それぞれの意見をぶつけ合います。この様なディスカッションが良いデザインのアイディアを生むんですよね。
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選択科目の4種類は下記参照です。
 ○Regional Landscape History
  -地域によってのランドスケープの歴史を学びます。
 ○The Urban Landscape
  -都市エリアにおいてのランドスケープを学びます。 
 ○Asian Garden
  -アジアの庭園について学びます。
 ○World Garden
  -世界の庭園について学びます。
*ちなみに私が取ったのは、Asian GardenとWorld Gardenです。どちらも先生が良かったので、楽しく学べました。

シニアプロジェクトも、アドバンスランドスケープデザインのクラス同様、自分で好きなプロジェクトを選ぶ事ができます。プロジェクトを完成させる選択肢としては、デザインや設計を行う、論文を書くなどの方法に分かれます。私は、Therapeutic Landscape Designについての論文を書きました。この頃は、他のクラスの課題なども重なりかなりしんどい日々を送っていたのを覚えています。

最後にですが、少しイタリア研修の事についてお話したいと思います。
毎年カルポリポモナでは、4年生の秋学期にオプションでイタリア研修に行くと言う選択ができます。もちろんちゃんと卒業に必要な単位などは取れるので、遅れて卒業になると言う事はありません。私はインターンをしていたと言う事もあり、参加できませんでしたが、参加して来た人の話を聞く限りでは、みんなイタリアですばらしい体験をしてきたそうです。やはり、風土、文化の違う場所で勉強する事はとても良い刺激になるそうです。みんなまた行きたいと言ってました。私も時間ができれば是非行ってみたいと思います。

さて、編入後の3年間を振り返ってみますと、本当にたくさんの事を学んだと思います。全くランドスケープの事を知らなかった3年前とは全然私の知識も考え方も変わったと思います。そして、3年間一緒に勉強を続けてきた学友とも本当に仲良くなる事ができました。教わった教授達も本当に良い方達ばかりでしたので、未だに交流が在ります。

私は、本当にいろいろな意味でカルポリポモナでランドスケープを学んで良かったと思います。学校選びはやはり大切ですよね!